民泊のライバルが増える恐れ

なぜ滞納された家賃を5年放置すると請求できなくなるのか?

5年で時効成立!家賃の踏み倒しを防ぐためには

通常、入居時には不動産会社が審査をします。これによって悪質な入居者が入ってくることをある程度は防げるのですが、その網目をかいくぐって好ましくない入居者が現れることがあります。

その代表例が家賃の滞納

ただ入金を忘れていただけということもあるので、その場合は通知すると問題なく振り込んでいただけると思いますが、なかには「無いものは無い」と開き直り、断固として支払いを拒否されることもあるかもしれません。それまでトラブルなどない優良入居者だったかたが、ご病気などで支払いできなくなるケースも考えられます。相手方の事情などによって対応は変わりますが、何にせよ家賃滞納には迅速に対応することが大切です。

最も注意したいのは、そのまま放置するということ。こうなれば時効が成立してしまい、未納分を回収できなくなることもあります。

1.消滅時効とは?家賃滞納者への対応は放置すると大きな損失に!

ご両親からアパートを相続した。競売物件やオーナーチェンジ物件を購入したなどで物件を取得したかたは、その物件の入居者がどのような人かを知りません。もし家賃を何年も前から滞納している(しがちな)人がいる場合は注意しておきましょう。

というのも、滞納された家賃は5年経つと滞納者へ請求できなくなり、借主は支払い義務がなくなるためです。これを難しい言葉で「消滅時効」といいます。

第169条(定期給付債権の短期消滅時効)
年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、5年間行使しないときは、消滅する。

「そんな話があってたまるか」と感じますが、これはその間に滞納された家賃を取り戻そうとしなかった側にも問題があるということで、民法にて定められています。家賃に関しては5年経てば踏み倒しが認められているということですね。(※)

たとえば2000年1月分の家賃10万円を滞納した入居者が、その後の請求にも応じずに2005年1月になると時効が成立し、その10万円の家賃を支払わなくて良いということになります。

もちろん2月分、3月分にも滞納があれば、2月3月と順に時効が成立していくので、たとえ1年分を滞納しているからといってその全てが同時に時効となるわけではありません。時効が成立する前に対策することで「時効の中断」ができるというのもポイントです。

「何もしない」ことが最も危険なので、滞納者がいる場合は管理会社や弁護士などに相談しながら対策していきましょう。

(※債権は原則として10年で消滅するが、飲食店のツケは1年、家賃滞納は5年というように短い期間になっているものもある。地上権や地役権、抵当権などは20年と長く設定されている。)

1-1.「時効の中断」とは時効が一時停止することではない

さきほど「時効の中断」というワードが出ましたが、これは時効が「一時停止する」というわけではなく、「新たに」時効がスタートするということです。

一時停止でなく、「払いなさい」と催告したときから新たに5年または10年間延長されるというところがポイント。つまり家賃を滞納された貸主は時効が伸びたことで「滞納している分を払いなさい」と請求できることになります。

ただし時効を中断させるにはいくつか条件があります。たとえば口頭での催告だけでは時効成立とはならないので、最終的に裁判所で訴えを起こし勝訴判決を得なければなりません。入居者が不当に滞納しているケースでの敗訴は考えにくいですが、手間がかかるので出来れば弁護士などに相談するとよいでしょう。

2.時効が成立する条件と知ることで対策できる

時効はただ5年経てば成立するわけではありません。下記で紹介する2つの条件のどちらかを満たし5年経ったとき、ようやく支払い義務がなくなります。言いかえればこの条件を満たさないように対策することで大家さんは回収できる期間が長くなるということです。

時効成立に必要な条件とは?
①【承認】滞納していることを認めていない
②【請求】催告(文書、口頭どちらでも可)されたのち訴えられていない

このどちらかの条件を一方でも満たしている場合、未払い家賃を回収することは困難になります。もし滞納者にお悩みのかたは、この条件を満たさせないことを意識しておきましょう。

2-1.【承認】滞納していることを入居者が認めたかどうか

「貴方は家賃を支払っていませんね」ということを滞納者が認めると、その時点で時効は中断します。当の本人が認めているわけですから、これには裁判も勝訴も必要ありません。そしてこれは口頭でもよいとされており、入居者が滞納があることを認めたときから5年間、時効が延長します。

内容証明郵便のような確定日付のある証書などでなく、偶然滞納者と会ったときに口頭で確認しても大丈夫です。ただしより慎重になるのであれば文書で何度か通知し、さらに電話などで確認するというように二重にかけたほうが安心でしょう。

飲み屋のツケをイメージしていただければ分かりやすいかと思いますが、「前回のにつけといて」というように口頭で伝えるということは、ツケがあることを認めていることと同じ意味になります。これは家賃の滞納でも同じで、入居者が滞納を認めればそこで時効成立までのカウントダウンがストップし、催告した(口頭で伝えた)ときから新たに5年伸びるというわけです。

もちろん滞納期間中の家賃を一部でも振り込めば、それも滞納があると認めていることになります。ほかにも「債務承認書」という“未払い賃料があると入居者が認める書面”を作成した場合も、原則として“債務承認書を作成した日”から5年時効が伸びます。

2-2.【請求】文書や口頭での催告があり裁判となったか

続いては入居者が滞納があることを認めない場合です。あまりに悪質なかたは5年経つ前に強制退去を行なうと思われますが、知っておいて損はありません。

先ほどの「承認」ケースでは、入居者が滞納があることを認めれば時効が中断しましたが、「請求」はしたものの認めなかった場合には下記の手順を踏まなければ時効は成立しません。

  • 催告する(口頭でも文書でも良い)
  • 催告から6ヶ月以内に裁判を起こす
  • 裁判で勝訴判決を得る

もし催告から6ヶ月を過ぎても訴えなかったり、訴えたものの敗訴となれば時効は中断しません。非常に手間がかかりますが、このケースでのメリットは時効が5年から10年に伸びることにあります。(※)

たとえば9年11ヶ月滞納が続いたとしても、10年経つ前に「滞納があるので払って下さい」と催告すると、その時点から6ヶ月間カウントダウンが中断します。この段階ではあくまでも一時的に時計の針を止めているだけなので、大家さんは6ヶ月以内に裁判所で訴えを起こして無事に勝訴となれば、催告をしたときから10年時効が伸びるのです。

なぜ5年だったものが10年になるのかと不思議に思うかもしれませんが、先程の注意書きにもあるように原則として債権の時効は10年です。例外として金額が比較的小さな飲食料債権(飲み屋のツケ)などは10年より短い期間が定められているだけですから、裁判所で「払いなさい」となったものに関しては短期間で債権を消滅させないということです。

3.物件を購入する前に入居者チェックでトラブル回避!

もし競売物件や相続により受け継いだ物件などのなかに長期間家賃を滞納しているかたがいる場合は注意してください。とくに通常よりも安く売りに出されている物件がある場合、何かしら問題を抱えていることが考えられます。

その問題が簡単に解決できる程度のものであればそれほど心配はいりませんが、もし滞納などトラブルを頻繁に起こす入居者がいる場合は、裁判や弁護士費用など想定外のコストがかかることもあるので慎重に判断してください。

また、もし家賃が滞納されたとしても、今回ご紹介した知識があるかどうかで損失も変わってくるでしょう。少し難しい話ですが、豆知識程度に頭にいれておくとよいかもしれません。

法改正なども考えられるため、実際にトラブルが起きた際には管理会社や弁護士などへご相談されることをオススメします。

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