不動産投資でのインフレ対策

白色申告よりも青色申告のほうが節税しやすい理由とは

青色申告とは?どんなときに申告するのか

物件を取得して家賃収入がはいるようになると、所得税の確定申告を毎年行なうようになります。このとき申告方法には「白色申告」と「青色申告」の2種類があり、どちらを選ぶかによって税金面での様々な違いがでてきます。

今回のポイントは青色申告制度ですが、これを利用することで税法上の恩恵を受けられるのです。

1.青色申告と白色申告の違いとは何だろう

不動産賃貸業で得られた所得については、申告する際に「青色申告制度」を利用することもできます。不動産投資で節税をするならば青色申告は切っても切れないものです。

 白色申告青色申告(10万円)青色申告(65万円)
届出の必要なしありあり
特別控除の要件なし事業的規模ではない青色申告者事業的規模(5棟10室以上)
記帳、保管の義務あり(簡易簿記)あり(簡易簿記)あり(正規の複式簿記)
決算書作成なし
(※収支内訳書の作成あり)
貸借対照表、損益通算書の作成
(※一部未記入でも可)
貸借対照表、損益通算書の作成
(※全て記入)
専従者給与配偶者86万円まで
ほか50万円まで
妥当であれば金額の制限なし妥当であれば金額の制限なし
純損失の繰越しなしありあり

青色申告と白色申告との違いを簡単にまとめるとこのようになります。詳しく見ていきましょう。

1-1.青色申告とは

青色申告制度とは正確な帳簿の記載などを条件に、その帳簿にもとづいて正確に所得や税額を計算して申告する制度のことです。

利用するには、一定の期日(※注)までに「青色申告承認申請書」という届出書を税務署に出します。そして青色申告をすることで10万円や65万円が控除されるなど税金面での特典を受けられるようになるのです。

(※注)
原則として適用を受けようとする年の3月15日までに税務署へ提出しなければなりません。しかし年の途中で新規開業をした場合などは業務開始日(事業を開始した日)から2ヶ月以内に申請をする必要があります。
いずれの場合であっても1日でも承認が遅れれば申請をした年は控除や損失の繰越などのメリットを受けられなくなるので注意してください。

※参考:国税庁『青色申告制度』

1-2.白色申告とは

白色申告よりも青色申告のほうが節税しやすい理由とは

ただし帳簿といっても詳しい知識をもつエキスパートから、家計簿も難しいというかたまでおられます。そこで白色申告という「おおまかな経費を計算するだけでも申告できる」ような方法も用意されています

この「白色申告」では控除などのメリットが少なくなるかわりに、所得の合計が300万円を超えない場合は貴重と帳簿書類の保管が義務づけられておらず、専門知識がないかたでも簡単に申告できるようになっています。

しかし平成26年1月からは前年度の所得が300万円より少ない場合でも記帳と帳簿等書類を保管するという「白色申告の記帳義務化」が行われたため、メリットが少なくなっています。

 保存が必要なもの保存期間
帳簿収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)7年
帳簿業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿)5年
書類決算に関して作成した棚卸表その他の書類5年
書類業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類
5年

※引用:国税庁『帳簿・書類の保存期間』

青色申告と白色申告との違いは、届け出を出すか出さないかという点と、白色申告では“簡易な方法”による記帳が認められているという点です。しかし控除を考えれば青色申告を利用したほうがメリットは大きいので、青色申告の届出をするほうがよいでしょう。

2.青色申告で控除を受けるためには条件がある

10万円または65万円の特別控除をうけられる青色申告ですが、控除をうけるには下記の要件を満たさなければなりません。とくに65万円では事業的規模であることなどが定められています。

(2-1)65万円の控除をうけられる人とは

下記は65万円の特別控除をうけるための要件です。10万円の控除を受けるには、この「65万円の青色申告特別控除を受けるための要件」に該当しない青色申告者となります。

項目ポイント
事業的規模①アパート等の場合、客数はおおよそ10室以上
②戸建ての場合は1戸につき2室換算のため、おおよそ5棟以上
経理①複式簿記にて記帳
②「貸借対照表」「損益計算書」を確定申告書に添付し、
控除を受ける金額を記載して申告期限内に税務署へ提出

65万円の控除を受けるには“正規の複式簿記での記帳”が必要になるので、10万円の控除とくらべると複雑になります。経理などの経験があるかたなら問題ありませんが、それ以外のかたは税理士によるチェックをした後に申告するなど対策していきましょう。

また誤った申告をし、後日発覚した場合は追徴されることもあるので正確な記帳をしてください。

3.青色申告の大きなメリットは3つある

青色申告の大きなメリットは3つある!

青色申告をするメリットには「控除をうけられる」「配偶者などに給与を支払える」「純損失の繰越控除」の3つがあります。

3-1.年間で10万円か65万円の控除を受けられる

青色申告が承認されれば不動産所得から10万円、または65万円の青色申告特別控除を受けられます。控除額はこの二種類のみとなっており、たとえば15万円などはありません。

そして先ほどもお伝えしたように65万円の控除を受けるには事業的規模でなければならず、これを判断するために「5棟10室」が判断基準とされています

原則として独立家屋(戸建て)ならば一戸につき2室として換算されるので5棟以上共同住宅(アパートやマンションなど)は貸付部屋数がそのまま換算されるので10室以上の貸し付けをしている場合に事業的規模だとみなされます。下記をご覧ください。


◆保有している物件が戸建て1戸、一棟アパート(8室)の場合は事業的規模になるか?

  • 戸建て1戸 ⇒ 1戸あたり2室として換算
  • 一棟アパート ⇒ そのまま8室として換算

となるので2室(戸建て)+8室(一棟アパート)で10室となり、事業的規模に該当するため65万円の特別控除を受けられます

ただ、すべてのかたが事業的規模というわけではありませんし、複式簿記による帳簿をつけていないかたなどは10万円の青色申告特別控除を受けることができます。それぞれの規模や手法にあった申告をし、賢く節税していきましょう。

3-2.家族に支払う給与を必要経費にできる

これは「5棟10室」の基準を満たした事業的規模のときに受けられるメリットですが、生計をひとつにする親族に対して、給与の支払額を必要経費にできるようになります。

個人事業では家族経営をされていることも多いので配偶者一緒に暮らしている15歳以上で働ける親族に給与を支払い、それを必要経費にできるのです。

支払った給与を経費とするためには「青色事業専従者給与に関する届出書」を、給与を支給する年の原則として3月15日までに税務署に提出します。

◆白色と青色では給与の上限が変わる

  • 白色申告:配偶者は86万円まで、それ以外は50万円まで
  • 青色申告:妥当であれば制限はないが、基本的には給与の総額が事業主の所得を超えてはならない

ただ、青色専従者給与を支払うことで、1円でも給料を支払った年は、その家族の扶養控除がもらえなくなるなどのデメリットもあります。ほかにも給与を受け取る人の“従事可能な期間”の半分以上は働く必要があり、アルバイトや日雇いは不可などの制限もあるので注意してください。

3-3.純損失を繰越控除ができる

不動産所得が赤字の場合、まずは他の所得と合算して損益通算がされます。

しかしそれでも控除しきれない損失(=純損失という)があるとき、青色申告であれば純損失を翌年以降3年間にわたり繰り越したり、前年の黒字の所得に繰り戻して前年の税額の還付をうけたりすることで、各年の所得と相殺することができます。

白色申告では損失はなかったものとして扱われるため、繰り越すことはできません。

このような理由から節税という点でみたとき、白色申告よりも青色申告を利用したほうがよいといえるでしょう。

節税のためには必要経費にどのようなものを計上できるのか、税法上のメリットや注意点には何があるのかなどを正しく理解する必要があります。確定申告では必ず税理士や国税の相談窓口などに事前相談しながら申告してください

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