会社員と不動産投資

不動産投資の売却タイミングは5年毎にやってくる

売却時も見据えた物件選びの大切さ

不動産を購入するときを「入り口」とすると、売却時が「出口」です。購入する前に売却のことを考えるの?と疑問に思うかたもおられるでしょう。しかし、これを知らずに物件を選んでしまうと、売却時に「買い手が見つからない」といった問題が出てくることもあるのです。

1.出口戦略を考える時期とは

不動産投資の出口戦略

出口について考えるタイミングについての厳格な決まりなどはありませんが、だいたい5年毎を目安にするとよいでしょう。

2.購入から5年目で譲渡税の税率が半分になる

まず不動産を取得してから5年目に一つの区切りが訪れます。これは税金が関係するのですが、簡単にいえば5年以内に売却すると税金が高くなるので、税率を下げようとするならば5年保有してから売るほうが良いからです。

 所得税住民税
短期譲渡所得

(売却した年の1月1日現在で、
「所有期間5年以下」の場合)
30%9%39%
長期譲渡所得

(売却した年の1月1日現在で、
「所有期間5年超」の場合)
15%5%20%

税率をみると、実に2倍近くの差があることがわかります。利益が出ている場合は最低でも5年は持ち続けてから売却を検討することで、手元に残るお金を増やすことができるのです。

(※注1)所得税は平成25年~49年まで復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)が課されます。
(※注2)不動産を相続・贈与されている場合は、前の所有者の所有期間を引き継ぐことができます。

3.購入から10年目の修繕タイミング

次にやってくるのは購入から10年目の大規模修繕を控えたタイミングです。もちろん中古物件では10年よりも前に修繕する必要が出てくることもあるかもしれません。中古物件を購入する際にはかならず修繕履歴まで確認することをオススメします。

大規模修繕のタイミング

大規模修繕になると、外壁の塗装のために建物の外周に足場を組み立てることもあるので、退去時の壁紙の張替えのような通常の修繕よりも費用がかかります。ほかにも雨漏りを防ぐためにヒビ割れを補修したり、バルコニーに設置されている手すりなどに防錆処置を施したりなど建物の資産価値を保つために定期的な修繕を行なうのが一般的です。しかし大規模修繕の前に高値で売却できれば大きな利益を出せるため、10年を目処に売却を検討されるかたもおられます。

この修繕費用ですが、区分所有マンションでは毎月「修繕積立金」として積み立てることになっており、不足分があれば一時金としてその都度支払いを求められます。一棟物件ではオーナー様ご自身での積立となるため、月々の家賃収入から計画的に資金を準備しておく必要があります。

4.購入から15年目のローン金利が減るとき

ローンを借り入れるとき返済方法を「元利金等返済」と「元金均等返済」のどちらかから選ぶことになりますが、表のとおり元利金等返済では年数が経つほどにローンの利息部分が減るため、経費が減少することになります。

元利均等返済
(単位:円)
毎月の返済額元金毎月返済額に
占める元金割合
利息部分毎月返済額に
占める利息割合
借入金残高
1年目86,49334,14639.5%52,34760.5%19,596,190
5年目86,49338,80244.9%47,69155.1%17,845,488
10年目86,49345,52552.6%40,96847.4%15,317,684
15年目86,49353,41361.8%33,08038.2%12,351,911
20年目86,49362,66772.5%23,82627.5%8,872,281
25年目86,49373,52585.0%12,96815.0%4,789,769
合計31,137,40320,000,00011,137,403
元金均等返済
(単位:円)
毎月の返済額元金毎月返済額に
占める元金割合
利息部分毎月返済額に
占める利息割合
借入金残高
1年目107,25855,55551.8%51,70348.2%19,333,340
5年目100,14755,55555.5%44,59244.5%16,666,700
10年目91,25855,55560.9%35,70339.1%13,333,400
15年目82,37055,55567.4%26,81532.6%10,000,100
20年目73,48155,55575.6%17,92624.4%6,666,800
25年目64,59255,55586.0%9,03714.0%3,333,500
合計29,626,58520,000,0009,626,585

※表:住宅金融支援機構(借入金2,000万円、固定金利3.2%、返済期間30年でのケース)

経費が減るということは、「不動産投資で節税できる理由」の章でもご紹介しているとおり節税効果が薄れるということですから、このタイミングで売却を検討するかたもおられます。なかには二棟目を購入する場合もあるので、必ずしも経費が減るというわけではありませんが、一つの目安として考えておきましょう。

【※元利金等返済(ガンリキントウヘンサイ)】
⇒金利が変わらない限り毎回の返済額が一定になるように元金と利息の割合を調整する

【※元金均等返済(ガンキンキントウヘンサイ)】
⇒毎回の返済額が元金を均等割にした額と利息の合計となる

5.購入から20年目の減価償却期間

木造の減価償却期間

新築や築浅の木造物件を購入した場合、およそ20年ほどで減価償却期間が満了になりますから売却を考えるタイミングです。ただしRC造の場合は47年、木造で22年と構造によって法定耐用年数は異なります。また、築古の中古物件では耐用年数オーバーのものも多々あるため、場合によっては4年での売却を検討する方もおられるでしょう。

資産の耐用年数一覧表

もう少し詳しくお話しましょう。おそらくほとんどの方が物件を購入するとき金融機関から融資を受けるかと思います。そのときの融資期間ですがこれは法定耐用年数などを基準に、最長30年の範囲内で定められるのです。下記をご覧ください。

◆中古物件の融資期間

  • 新築の木造物件:22年
  • 築10年の木造物件:22年(法定耐用年数)- 10年(築年数)=12年
  • 築30年の木造物件:22年(法定耐用年数)× 20% =4年(※1年未満は切り捨て)

つまり耐用年数オーバーの中古物件を購入するとき、4年間は減価償却費を経費に計上できますが、それを超えると償却費がゼロになってしまうので節税効果が薄れるということです。そのため短ければ4年で売却して次の物件を購入するケースも考えられます。

(※注)実際には築古であっても担保価値が高いものや属性の高い方などは、耐用年数に限らず融資期間が伸びることもある。

注意したいのは、5年未満での売却になるため税率が高くなるという点と築古は買い手が見つかりにくいという点です。また、数年で投資金額を回収できるような高利回り物件でなければ利益を出せません。仮に「税率が下がる5年間保有して売却する」プランでなら、できれば表面利回り20%近くは欲しいところです。

ただし地方には利回りが非常に高い物件がでてくることもありますが、人口が減少すればやがて空室率が高くなり、売却価格にも悪影響を及ぼします。利回りも重要ですが、賃貸需要があるかどうかまで考えた物件選びが大切です

(※補足)
減価償却期間というのはあくまでも税務上で設定されている年数ですから、20年経てば寿命を迎えるというわけではありません。先ほども少しお話した大規模修繕などの定期メンテナンスを施すことで建物の寿命を伸ばすことができます。農家さんのご自宅が築100年を超えるものや、法隆寺のように1,000年以上も経つものも少なくないことから伺えます。詳しくは下記をご参照ください。

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