原状回復は大家負担!?ファミリー向けより単身者用を持つべき理由とは

ファミリー向け物件から撤退する人の理由とは

ファミリー向けの部屋は単身者のものよりも広く、部屋数も多くなります。一度入居が決まればそう頻繁に退去するご家族は少ないですが、高額になる修繕費用を考えておかなければなりません

周辺環境など立地がよい物件なら家賃の値下げをしなくても入居者が決まりやすいですが、そのような物件を購入できるかたは限られます。多くは経年とともに家賃も値下げしなければならず、高い修繕費用を用意できなくなる恐れもあるので注意が必要です。

1.ファミリー世帯は賃貸だけでなく持ち家もある

ファミリー向け物件の危険とは

単身者のかたは賃貸を借りますが、ファミリー世帯では持ち家もあることを考えなければなりません。

とくに土地が安い地方や郊外などでは賃貸で家賃を払い続けるよりも、マイホームを購入してローン返済をし続けたほうがよいと考えるかたも少なくないでしょう。「持ち家か賃貸か」という議論は昔からありますが、人や地域によってどちらが良いのかなど変わるので置いておきますが、家にいる時間が長い女性にとって賃貸のように気を使う必要のないマイホームは憧れですから、地方に行けば行くほど、地価が安くなればなるほど持ち家のかたは増える傾向にあるのです。

需要が少ないということは空室リスクが高くなるということです。空室が増えれば家賃の値下げや設備投資などが起こり家賃収入は低下するでしょう。ということは需要が見込める単身者用の物件を狙うべきだと言えます。

2.壁紙の張替えなど大家さん負担での修繕費が高い

ファミリー向け物件は大家さん負担での修繕費が高い

退去があれば室内清掃だけでなく壁紙やクロスなどの張替えといった原状回復をしてから次の入居者募集を始めることが殆どです。このとき入居者の過失ではなく経年によって劣化したものは原則として大家さん負担による修繕となることまで考えておかなければなりません。

3.原状回復は借主の義務!でも費用を請求できないことも

現状回復は借主(入居者)の義務です。しかし通常の使用によって消耗するものまで負担する義務はなく、壁紙の張替えなどを入居者に請求できないことも少なくありません。

具体例では、小さいお子さんがいるご家庭が退去することになり、当日に立ち会いをしてみたら壁一面に落書きされていたというケースです。

下表のガイドラインでも定められているように「落書き等の故意による毀損」は入居者に現状回復の義務がありますが、このときにポイントとなるのが経年劣化や減価償却です。クロスの価値は入居してから6年で1円にまで償却されるので、クリーニングでも落ちないほど酷い汚れだったとしても入居者への請求は難しくなります。

この事例でも入居から7年が経っていたために大家さん負担での修繕となる可能性があるでしょう。これは国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に定められています。

3-2.「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の内容とは

下記は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」から作成したものです。

◆国土交通省 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

 賃貸人(大家さん)の負担となるもの賃借人(入居者)の負担となるもの

(カーペット・畳・
フローリング等)
①畳の裏返し、表替え
(特に破損していないが、次の入居者確保のために行うもの)
②フローリングのワックスがけ
③家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡
④畳の変色、フローリングの色落ち
(日照、建物構造欠陥による雨漏りなどで発生したもの)
①カーペットに飲み物等をこぼしたことによるシミ、カビ
(こぼした後の手入れ不足等の場合)
②冷蔵庫下のサビ跡
(サビを放置し、床に汚損等の損害を与えた場合)
③引越作業等で生じた引っかきキズ
④フローリングの色落ち
(賃借人の不注意で雨が吹き込んだことなどによるもの)
壁、天井
(クロスなど)
①テレビ、冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ
(いわゆる電気ヤケ)
②壁に貼ったポスターや絵画の跡
③壁等の画鋲、ピン等の穴
(下地ボードの張替えは不要な程度のもの)
④エアコン(賃借人所有)設置による壁のビス穴、跡
⑤クロスの変色(日照などの自然現象によるもの)
①賃借人が日常の清掃を怠ったための台所の油汚れ
(使用後の手入れが悪く、ススや油が付着している場合)
②賃借人が結露を放置したことで拡大したカビ、シミ
(賃貸人に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合)
③クーラーから水漏れし、賃借人が放置したため壁が腐食
④タバコ等のヤニ・臭い
(喫煙等によりクロス等が変色したり、臭いが付着している場合)
⑤壁等のくぎ穴、ネジ穴
(重量物をかけるためにあけたもので、下地ボードの張替えが必要な程度のもの)
⑥賃借人が天井に直接つけた照明器具の跡
⑦落書き等の故意による毀損
建具、襖、柱など①網戸の張替え
(破損はしていないが、次の入居者確保のために行うもの)
②地震で破損したガラス
③網入りガラスの亀裂
(構造により自然に発生したもの)
①飼育ペットによる柱等のキズ・臭い
(ペットによる柱、クロス等にキズが付いたり、臭いが付着している場合)
②落書き等の故意による毀損
設備、その他①専門業者による全体のハウスクリーニング
(賃借人が通常の清掃を実施している場合)
②エアコンの内部洗浄
(喫煙等の臭いなどが付着していない場合)
③消毒(台所・トイレ)
④浴槽、風呂釜等の取替え
(破損等はしていないが、次の入居者確保のために行うもの)
⑤鍵の取替え(破損、鍵紛失のない場合)
⑥設備機器の故障、使用不能(機器の寿命によるもの)
①ガスコンロ置き場、換気扇等の油汚れ、すす
(賃借人が清掃・手入れを怠った結果汚損が生じた場合)
②風呂、トイレ、洗面台の水垢、カビ等
(賃借人が清掃・手入れを怠った結果汚損が生じた場合)
③日常の不適切な手入れ、もしくは用法違反による設備の毀損
④鍵の紛失または破損による取替え
⑤戸建賃貸住宅の庭に生い茂った雑草

償却という考え方がガイドラインに盛り込まれているのは入居者にとってはプラス材料です。たとえ故意であろうと負担するのは償却された分を差し引いた「現存する価値」のみということになるのです。

たしかにファミリー向け賃貸では一度入居が決まれば短期で退去されることはそう多くはないでしょう。しかし償却期間が6年ということ、そして室内が広いので修繕箇所が広範囲になるということを考えると必ずしも良いことばかりとは限りません。

なかにはガイドラインがあることを知り、子どもの落書きを注意することすらしなくなったご家族もおられるようです。地方では2LDKでも5~6万円前後という物件も多く、家賃収入に対する修繕費の割合が非常に高くなります。修繕費用を出せずに建物の価値が下がり、空室が埋まりにくくなるなど負のスパイラルに陥ることのないようにしましょう。

ファミリー向けか単身者向けか

たしかに単身者向けも一長一短ありますし「短期で退去されることが多い」と言われることもありますが、近年では晩婚化が進んでいることなどから必ずしもそうとは言えなくなってきています。また非正規雇用者が増えていることから、所得が低いために頻繁に引っ越しを繰り返すこと自体が難しくなっているのではないでしょうか。

すでに他にも収益物件を持っているかたはファミリー物件に挑戦するのも一つの方法ですが、様々なリスクを考慮したうえで購入していきましょう。初めての方やリスクを抑えたいかたには、まずは単身者用の物件をオススメします

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