不動産の失敗談「空室が埋まらない理由が分からない」

いくらから法人化を検討するべきか?税率で比較してみよう

個人事業か法人設立かで迷ったときは

不動産投資では個人のままで不動産を持つか、それとも法人化するのかで大きく二つ方法があります。どちらにもメリット・デメリットがあり、さらに一人ひとりの年収や購入する物件の規模、目指す方向性などが違うので、実際には税理士などへ相談しながら決める必要があります。

ここでは個人と法人とでは何が大きく変わるのかなどを分かりやすくご説明しています。

大切なのは不動産投資を始める動機や目的をハッキリとさせることです。もし「毎月数万円ほどの収益があればよい」というかたなら個人のままで物件を持つかたも多いと思いますし、「メガ大家さんを目指す!」というかたなら法人化することで融資や節税対策を行なうのも良いでしょう。

まずはなぜ不動産投資をするのかを紙に書き出し、そのうえで下記の内容などを参考にしながら進む道を決めていきましょう。

1.個人と法人の基本的な違いとは

まずは個人と法人での大きな違いをチェックしましょう。下記をご覧ください。

  • 税率:所得が高いかたは法人化で税金が安くなる
  • 損失の繰越期間:個人3年、法人9年
  • 人件費:法人は有り

そのほかの面でも細かな違いはあるのですが、大きなものはこの3点です。サラリーマン大家さんのように本業での給与所得があるかたは、不動産所得と合算したときに所得が高くなるため、最初から法人化されたほうがいい場合もあるでしょう。

今回はそのうちのひとつ“税率”について纏めています。

2.所得税と法人税では税率がどれほど違うのか

所得税と法人税では税率がどれほど違うのか

まずは“税率”についてご説明します。個人の所得には“所得税”と“住民税”がかかり、法人には“法人税”がかかり、所得が大きくなるにつれて税率も高くなります

サラリーマンのように本業からの給与所得があるかたは、不動産所得と合算したときの金額によっては支払う税額が法人税より高くなることもあるのです。給与所得が高額なかたや、不動産所得が多いかたは注意してください。税率を計算することで、個人のままでよいのか法人化するべきかが分かるでしょう。

また、あくまでも目安ですが課税所得が900万円を超えると個人では43%、法人では38%と税率が逆転しますから、このラインを目安に法人化を検討するのも一つの方法です。

今後は法人税の税率が引き下げられ、最終的には20%台まで引き下げられるとも言われているため、多くのかたが法人化することも考えられます。税率がどれほどになるかシミュレーションし節税効果を高めていきましょう。また税金制度は変更されることもあるため、常に新しい情報を入れることが大切です。詳しくは税理士へとご相談ください。

2-1.個人の所得税・住民税の速算表(平成28年5月現在)

まずは所得税です。実際にはこのほか平成25年から平成49年までの各年分の確定申告では所得税と復興特別所得税をあわせて申告、納付します。

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円~330万円以下10%97,500円
330万円~695万円以下20%427,500円
695万円~900万円以下23%636,000円
900万円~1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円~4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

住民税は一律10%(市民税6%、県民税4%)となっています。つまり個人が収めることになる所得税額を計算するときは、所得税と住民税を合計した税率を用いて計算します。たとえば年収800万円のかたは所得税率23%と住民税10%で33%が課税されるということですね。

2-2.法人での法人税の速算表

法人はこの他、法人住民税が必要です。東京都23区の場合17.3%。均等割りでは従業員の数や資本金によっても変わるが最低7万円です。

課税所得金額税率
400万円以下約23%
400万円~800万円以下約25%
800万円以上約38%

(※注)均等割とは、所得がなくとも法人があるだけで課せられる税金のことで各都道府県や各市町村によって異なります。たとえ赤字でも均等割については納税しなければなりません。

2-3.税率がお得になるのはどちらかを計算してみよう

たとえば給与所得が800万円、不動産所得が400万円のときに個人と法人でどのように税額がかわるのか比較してみましょう。

まず給与所得800万円の必要経費を求めてみます。給与所得についても必要経費が認められており、所得によって控除額は変わります。(※下表参照)

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,800,000円以下収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円超
3,600,000円以下
収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超
6,600,000円以下
収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超
10,000,000円以下
収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超
12,000,000円以下
収入金額×5%+1,700,000円
12,000,000円超2,300,000円(上限)

※引用:国税庁 給与所得控除(平成28年分)

■給与所得の必要経費
800万円×10%+1,200,000円=200万円

■経費を引いた給与所得
800万円-200万円=600万円

不動産所得の400万円が経費などを引いたあとの金額とすると総所得金額は1,000万円です。この場合、税率は所得税33%と住民税10%を合わせた43%となりますから、税額を求めるとこのようになります。

■総所得金額1,000万円に対する税額
1,000万円×0.43 – 1,536,000円(控除)=2,764,000円

もし不動産投資を行わなかった場合は600万円の給与所得のみに税率30%がかかるので下記が税額となります。

■不動産投資をしない場合の税額
600万円×0.30 – 427,500円=1,372,500円

■不動産投資によって増えた税額
1,372,500円-2,764,000円=1,391,500円

つまり年収800万円のかたが不動産投資で400万円の収入を得た場合、個人では約140万円が増税される計算になります。しかし法人化することで給与所得と不動産所得との税率を分けることができますから、法人化によって不動産投資にかかる税率を約23%まで引き下げられ、増税額は約92万円(400万円×23%)になるのです。

如何でしょうか。日本のような所得が大きいかたが税率も高くなる累進課税制度の場合、もともとの給与所得が高いかたや、不動産所得の大きいかたは法人化することで税率を引き下げることができます。

今回のモデルケースはあくまでも参考例の一つですから、個人の年収や経費、投資する物件の規模などによっても法人化したほうがよいタイミングは異なります。所得や税率がどれほどになるのかをシミュレーションしてみましょう。

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