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相続した不動産の名義変更(相続登記)は自分で簡単にできる?

土地や建物などを相続したときは名義変更が必須

土地や建物を相続した場合は名義変更をし登記することで、その不動産の所有権を明確にできます

名義変更に期限はありませんが、手続きがされてないと第三者に「この不動産は自分のものだ」と主張されたとき「名義はすでに変更されているからそんなことはない」と対抗できないこともあるので早めに行っておくほうがよいでしょう。今回は相続による名義変更の流れについてご説明します。

1.相続の名義変更はいつまでに行なうのか?

相続の名義変更はいつまでに行なうのか?

相続登記(相続による名義変更)は法律で期限が定められているわけではありません。そのため亡くなったかた(被相続人)から長男が不動産を引き継ぐことで相続人全員の合意が得られたあと、時間がないから名義変更をしなかったからといっても罰則はないので安心してください。

しかし問題は期限ではなく、第三の相続人が登場することや、相続人同士でのトラブルに発展する恐れがあることです。

遺言がない場合は法律に定められた相続人が遺産を相続することになりますが、後々所有権をめぐってトラブルが起きることを避けるため、早めに相続人全員で話し合い(遺産分割協議)、亡くなったかたの不動産を誰の名義にするのか決めたあとはスムーズに相続登記まで行うほうが良いとされています。

2.相続での不動産の名義変更の流れ

名義変更の手順は下記のようになっています。あくまでもこれは全てを自身で行なう場合の流れなので複雑になっていますが、実際には司法書士や行政書士などへ依頼する部分もあるので専門家と相談しながら進めていきましょう。

  • STEP①:書籍やインターネット、法務局などで情報収集(売買による名義変更などとは異なるので注意)
  • STEP②:戸籍謄本等を収集する(被相続人と相続人の両方)
  • STEP③:相続人全員での遺産分割協議、遺産分割協議書の作成
  • STEP④:固定資産評価証明書の取得(登録免許税の計算のため)
  • STEP⑤:登記申請書の作成、法務局への提出

簡単に流れをいえば相続人全員で話し合い、書類を用意して法務局に提出するだけですが、実際には後述するように非常に手間のかかる作業もあり、平日に時間を取られるのでご自身だけで行なうのは難しいかもしれません。

3.相続登記で必要になる書類とは

相続登記では大きくわけて下記のような書類が必要になります。

  • ◆被相続人(亡くなったかた)
  • ・除籍謄本、戸籍謄本(出生から死亡までの全て)
  • ・住民税の除票
  • ◆相続人
  • ・戸籍謄本(現在の戸籍謄本が1通あればよい)
  • ・住民票(相続人全員のもの)
  • ・印鑑証明書(相続人全員のもの)
  • ◆そのほか
  • ・不動産の固定資産評価証明書
  • ・不動産の全部事項証明書(全国の法務局で取得可能)
  • ・登記にかかる登記免許税(目安:不動産評価額×0.4%)
  • ・相続登記申請書
  • ・登記原因証明情報
  • ・遺産分割協議書

実際に自分で用意しなければならない書類は相続登記をすべて自身で行なうのか、行政書士や司法書士に依頼するのかでも異なります。詳しくはお近くの専門家へお問合せください。

被相続人の戸籍謄本は引っ越しなどで異なる市町村役場に点在していることが多く、平日にしか開いていないので収集作業に時間がかかります。しかし全ての戸籍謄本などが確認できなければ、法務局としては正式な相続人が何人いるのかを調べられないので相続登記ができないのです。

行政書士や司法書士によっては戸籍収集まで含めて行っていることもあるので、少々値段は高くなりますが依頼するのもよいでしょう。参考までに料金の相場はおよそ5~7万円ほどが多いようです。もしご自身で収集まで行なう場合は、市区役所にある戸籍相談コーナーで相談しながらすべての戸籍を集めていきましょう。

4.遺産分割協議(書)で気をつけることとは?

遺産分割協議(書)で気をつけることとは?

遺産分割協議での注意点は必ず相続人全員で話し合うということと、協議が成立したあとは「遺産分割協議書」を作成するということです。誰か一人でも不参加だったときはその協議は無効となります。この遺産分割協議書には特定の書き方というものはありませんが、下記のルールを守る必要があるので注意してください。

  • 相続人全員で作成し、相続人の数だけ作成する
  • 全員の署名と捺印(実印)をして各自が1通ずつ保管する
  • 「相続人全員で協議した」という文言を入れる
  • 不動産についての情報を記載するときは「登記事項証明書(※注)」を書き写す

ただし相続人が多いと同時に会って話すことも難しくなるので、メールや電話などでも良いとされています。または予め一人が作成した遺産分割協議書をほかの相続人が承認するということでも大丈夫です。

遺産分割協議書に捺印するときは実印が必要になりますが、なかには実印登録をしていないかたがいるかもしれません。その場合は実印を作るところから始めなければならないので時間がかかります。さらに、もしも相続人のなかに未成年者や成年被後見人のような“制限行為能力者”がいた場合、単身では法律行為ができないので“特別代理人”をたてる必要があります

通常であれば未成年者(未婚の20歳未満)の場合、その親等である“親権者”が法定代理人になりますが、相続では親も子も相続人になるので、もしも未成年者の代理人に親権者がなってしまうと利益が対立してしまいます。そのため親権者は法定代理人になることができず、別途“特別代理人”というものを家庭裁判所で選任してもらわなければなりません

【※注:登記事項証明書とは?】
登記事項証明書とは登記記録について記載されている書類です。登記がコンピューター化される前は“登記簿謄本”と言われていました。これは法務局にて誰でも取得できます。

4-1.遺産分割協議書を作成する流れ

遺産分割協議書の作成はこのような流れで行われます。

  • STEP①:相続人の確定(被相続人の戸籍謄本などから確定させる)
  • STEP②:相続財産の調査(不動産なら登記簿謄本、預貯金なら通帳残高などから確定させる)
  • STEP③:遺産分割協議をする(相続人全員参加で行なう)
  • STEP④:遺産分割協議書の作成(全員の署名捺印など必須)

STEP①の段階で相続人を間違えると全ての作業がやり直しとなるので十分注意してください。法務局に対してもほかに相続人がいないことを証明しなければならないので、漏れのないように被相続人(亡くなったかた)の出生から死亡まですべての除籍謄本、改製原戸籍を取得し、それらの戸籍謄本などから相続人を確定させましょう。

5.すべての書類を用意した後は法務局へ提出しよう

必要な書類が揃ったあとは法務局へ提出してください。受理されれば不動産の名義変更が完了です。法務局は全国にありますが、相続する不動産を管轄する法務局にしましょう。下記のサイトから不動産の所在地に近い法務局を検索してください。

※参考:登記情報提供サービス

もし遺産分割協議書の作成時に不動産の情報を誤って記入していた場合などは法務局に提出しても無効とされてしまうので、必ずミスがないように作成しましょう。

法務局では事前に登記の仕方について相談することもできますが、平日のみの受付けなので会社員のかたなどは相談するために会社を休まなくてはならず不便に感じるかもしれません。

6.行政書士と司法書士ならどちらに相談するべきか?

また相談できたとしても登記や遺産分割協議書などだけでなく専門用語についてある程度の知識が必要になるので、行政書士や司法書士などプロの手を借りるのも一案です。

参考までに行政書士と司法書士の違いですが、遺言書作成や遺産分割協議書の作成、戸籍謄本等の収集、相続人の調査と確定などは行政書士も司法書士も行えます。しかし相続登記や相続放棄の手続き、家庭裁判所に対する調停・審判の申立書の作成については司法書士のみができるという違いがあります。相続税の申告は税理士のみ可能です。

お近くに事務所があるかたは最初から司法書士へ問合せるとスムーズに進みます

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