貸主負担DIYとは

借主負担DIYって何だろう?空室を埋める新しい手法とは

借主負担でDIYができる賃貸物件が注目されている

借主負担DIYとは

持ち家でなく、賃貸でもDIYができる時代がやって来ました。これまでインテリアに興味があっても壁紙を好きな柄にしたり塗装したりといったことが難しかった賃貸住宅ですが、国土交通省によって「借主負担DIYの賃貸借」というガイドラインが提示され、「修繕費は自己負担になる代わりにDIYできる賃貸住宅」などと注目されています。

雑誌やテレビ番組、キュレーションメディアなどでもDIYの記事は人気がありますから、壁紙を張り替えたり塗装をしたりと住まいを楽しくすることに興味を持つかたは多いのではないでしょうか。

大家さんにとっても原状回復費がかかりませんし、空室が埋まりやすくなることも期待できますから注目されているかたも多いかと思います。もちろん新築物件では難しいですが、たとえば築古のボロボロの中古物件を購入しDIY型賃貸を提供する、という方法も一般的になるかもしれませんね。今回はそんな「借主負担DIY」について概要をまとめています。

1.借主負担DIYとは何だろう?

借主負担DIYとは大家さんが原状回復費用を負担する必要がない代わりに、入居者が自費で修繕や壁紙を張り替えるなどのDIYができるという「借主負担型の賃貸借契約」です。空き家問題が深刻化するなか放置される空き家を減らす目的もあるでしょう。

◆DIY型も含めた賃貸借のタイプ(国土交通省)

 【今までのやり方】
Aタイプ
一般型
【今までのやり方】
Bタイプ
事業者借上型
(サブリース)
【新しいやり方】
C-1タイプ
借主負担 DIY
(現状有姿)
【新しいやり方】
C-2 タイプ
借主負担 DIY
(一部要修繕)
入居前修繕
(費用負担者)
貸主が修繕、
設備更新等を実施
貸主が修繕、
設備更新等を実施
(一定基準以上)
現状のまま
(故障はなく、通常生活は可能)
借主が実施
又はそのまま放置
(躯体等を除く)
家賃水準市場相場並み市場相場並み
(手数料支払)
市場相場より若干低廉市場相場より相当低廉
入居中修繕
(費用負担者)
貸主が実施
(一部の小修繕は
借主負担もある)
事業者が実施
(貸主と負担調整)
借主が実施
又はそのまま放置
(躯体等は貸主)
借主が実施
又はそのまま放置
(躯体等は貸主)
DIYの実施
(壁床の張り替え、
設備更新等)
原則禁止原則禁止借主負担で認める借主負担で認める
造作買取請求
(エアコンの取付等)
認めない
(造作した場合、退去時に撤去)
認めない
(残置するかは双方で協議)
認めない
(残置するかは双方で協議)
認めない
(残置するかは双方で協議)
退去時の
原状回復
借主の義務
(通常損耗、経年劣化を除く)
借主の義務
(通常損耗、経年劣化を除く)
DIY実施箇所は免除DIY実施箇所は免除

大家さんにとっても修繕費用を削って入居者を募集できるのは嬉しいポイントです。DIYに興味を持つ入居者は少なくないでしょうが、これまで賃貸住宅では好きに壁紙を交換することなど難しく、少しでもクロスが剥がれていたりマーカーの色がついていようものなら退去時に費用を請求されることもあるため不満を感じるかたも多かったと思います。ただしどの範囲までならDIY可能など事前に決めトラブルが起きないようにするなど気をつけるべき点もあります。

1-1.借主負担DIYにしたからといって利回りが上がるとは限らない

借主負担DIYで利回りは上がるか?

借主負担で修繕などをしてもらうので利回りが上がるのではないかと思いますが、実際には修繕などを行わないため賃料を下げることになるでしょう。どれほどの家賃設定が妥当かは周辺の競合物件などにもよるので一概にはいえません。また改築することを前提にしているので築古物件でも人気物件にできる可能性はありますがその分家賃を下げなければ納得されませんし、場合によってはDIYの支援金をだすこともありえます。

2.借主が修繕などを行なうことのメリットとは

現状回復などを大家さんやサブリース会社が行なうのではなく、入居者が行なうことでどのようなメリットがあるのかを纏めています。下記をご覧ください。

2-1.貸主のメリット

  • 退去後の修繕をせず現状のままで貸せる
  • 長期間入居してくれる可能性がある
  • 退去の際には貸出時よりも設備などの価値が上がっている可能性がある
  • 相場よりも安い賃料で住める

2-2.借主のメリット

  • 持ち家のようにカスタマイズできる
  • 自費で修繕をするため賃料が下がる
  • 退去時の原状回復費を心配する必要がない
  • 退去時の修繕がないのでスムーズに入居者を募集できる(繁盛期に有利)

実例が少ないものの借主負担DIYのメリットにはこのようなものがあります。ただし家賃が相場よりも下がる、短期で退去される可能性もあるなどデメリットも考えられますし、まだまだ実例が少ないので分からない部分も多いです。実際に取り入れる場合はリスクまで考えておく必要があります。

3.DIY賃貸で失敗しないためには

借主負担DIYで失敗しないために

DIY賃貸で失敗しないためには契約時に決めておかねばならないことも多々あります。

たとえばエアコンなどの取り外しできる設備を退去時に貸主に買い取りを求めないことや、現状回復費を一切取らないのかどうか等です。これらを事前に取り決めることで貸主と借主でトラブルになることも少なくなるでしょう。

尚、国土交通省のガイドラインでは下記のように確認事項を定めているのでご覧ください。

◆DIYを実施する場合の確認事項(国土交通省)

入居前の事前確認事項DIYを実施する際の確認事項
DIYを実施可能な箇所の確定(壁、床、棚、収納、トイレ、台所、風呂等)DIYの実施箇所の確定(1と同時の場合もある)
施工方法、時期、必要な近隣対応施工方法、時期、必要な業者の選定(2と同時の場合もある)
実施箇所について原状回復義務の免除実施後の確認方法
実施後の確認方法
実施箇所、入居時期、契約期間等を勘案した家賃設定

一般の賃貸の場合、アパートなど一棟物件をお持ちのかたは空室対策としても使いやすいかもしれませんが、マンションは共用部分と専有部分とで分かれているため「どこでも自由にDIY」ということは難しいでしょう。またリフォーム時の音についても近隣とトラブルにならないよう対策するなど課題は多くあります。

ただ課題はあるものの実家を相続したものの空き家になってしまっているかたも多くなっているので、「借主負担DIY」などの柔軟な賃貸形式が浸透することで空き家を有効活用しやすくなることは間違いないでしょう。遊休不動産の活用方法にお悩みのかたは一考の価値がありそうですね。

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