雨漏りやシロアリ被害で損害賠償は請求できるの?

瑕疵がある物件を買って失敗しないために

瑕疵担保責任(かしたんぽ)という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。これを知らずにいると高額な修繕費用を自己負担することにもなりかねません。

新築の購入を検討しているかたはリスクも低いですが、中古物件ではたとえ築浅でも対策がされていない物件ではシロアリや雨漏りなどの被害が進行していることもあります。安く購入できたとしても、修繕に数千万円もの費用がかかれば利回りは急速に悪化するでしょう。今回は失敗しない不動産投資のための基礎知識についてご説明します。

1.瑕疵とは何らかの問題があるということです

雨漏りやシロアリ被害で損害賠償は請求できるの?

瑕疵(かし)とは欠陥のことで、瑕疵物件とは何らかの問題がある物件ということです。瑕疵にも色々あり、シロアリや雨漏りなどの物理的なものもあれば、自殺や事件が起きたといった心理的な瑕疵、近隣に暴力団事務所や宗教施設があるなど環境的なものもあります。

もしシロアリに床下を食い荒らされているような物件を購入してしまい、しかもそれに気がついたのが購入した後だったたとしたら、どのような責任追及ができるか。これが「瑕疵担保責任」というものです。

シロアリ被害は修繕費をかければ解決しますが、費用は被害の度合いにもよりますし、もしかすると修繕するよりも取り壊して再建したほうが良いようなケースもあるかもしれません。シロアリ被害は築年数に関係なく起こりうるものですし、なかには築10年ほどの物件を購入したあと見積もりを頼んでみたところ1,000万円を超えることが分かり、費用を捻出できずにそのまま放置するしかなくなった事例もあるとのこと。

すぐに手放そうとしても瑕疵があることが分かっていますから、おそらくローンの残債を下回る額でしか売れないでしょう。こうなると建物は資産を生み出すどころか、毎年ただ固定資産税を支払うだけの物件になってしまいます。また後述しますが瑕疵があることを知っている場合にこれを買主に伝えないまま売却することは告知義務違反となるので絶対にやめておきましょう。このような場合、たとえ瑕疵担保責任に特約があっても無効になるので買主は売主へ責任を追求できます。

2.購入後に酷いシロアリ被害に気がついたとき責任を追求できるか?

事前に説明もなく、買ったあとにシロアリ被害に気がついた。しかもとても人が住めないような状態になっていた物件を購入したとき、買主は売主に責任(損害賠償)を追求できるのでしょうか?

結論からいえば可能です。ほかにも、もし酷い痛みがあり修繕しても賃貸物件として貸し出せないような「売買契約の目的が達成できない」場合には、買主は契約を解除することもできます。

2-1.「隠れた瑕疵」なら瑕疵担保責任を追求できる

買主が瑕疵があることを知っていて購入したのであれば売主に責任を追求できません。追求できるのは「隠れた瑕疵」がある場合だけです。

「隠れた瑕疵」にあたるものは、買主が一般的に要求される通常の注意を払っても発見できないもの。つまり知らないことに過失がないこと=「善意無過失」であることが条件になります。たとえば物件を見にいったとき通常なら雨漏りがあることを知り得たり(善意有過失)、シロアリが見つかったことを事前に売主から告げられていた、などの場合は「隠れた瑕疵」にはあたらないので瑕疵担保責任を追求できません。

2-2.いつまで責任を追求できるのか?

瑕疵物件だったとき責任を追求できるとはいっても、いつまでも大丈夫ということではありません。瑕疵担保責任には買主が瑕疵を見つけてから1年以内とされています(民法570条)。

これはたとえ瑕疵担保責任を負わない旨の特約をしていても売主が知っていて告げなかった事実については責任を逃れることはできません。つまり、重大なシロアリ被害があることを知っていた売主が、とにかく手放したいからということで買主に黙って契約を進めたとき、あとから責任を追求されるのを嫌がり「この物件は瑕疵担保責任を負いません」という特約を結んでいたとしても、この特約は無効になり買主は売主に瑕疵担保責任を追求できるのです。

また買主を保護するための瑕疵担保責任なので、特約を定めるとき民法で規定されているよりも買主に有利な特約なら有効です。もし「引き渡してから1年以内」など民法の規定より買主に不利な特約ならば特約は無効となり、「発見してから1年以内」と民法の規定どおりになります。

2-3.「発見から1年以内」なら10年後に気づいたものでも良いのか

「瑕疵を発見してから1年以内」なら責任を追求できるとはいっても、引き渡しから5年後10年後になって何らかの欠陥があることに気がついた場合でも民法上では瑕疵担保責任が発生してしまいます。これほどまでに時間が経つと、その欠陥が果たして瑕疵にあたるのかどうか判断が難しいでしょう。

そこで売主が宅建業者買主が個人(業者ではない)の場合、宅地建物取引業法(宅建業法)では瑕疵担保責任の追求期間を引き渡しの日から2年以上の期間内と定める特約が別途規定されています。

もし売主が個人なら瑕疵担保期間は当事者間で自由に定めることができ、中古物件の場合は1~3ヶ月の間とすることが多いです。また売主は「この家に瑕疵があっても瑕疵担保責任を負わない」という瑕疵担保責任免責の特約をすることもできます。

2-4.契約後に発生した瑕疵はどうなるのか?

瑕疵担保責任を追求できるのは、その瑕疵が契約締結時に起きているものに限ります。契約後に発生したものについては売主に責任を追求することはできません

3.瑕疵担保責任のまとめ

瑕疵担保責任については少し難しい部分なので知らないかたもおられるかと思います。まずは下記のまとめを頭にいれておくだけでもよいでしょう。

3-1.民法での特則

◆要件

  • 買主が善意無過失(知らないことに過失がない)のとき
  • 瑕疵を発見してから1年以内

◆効果

  • 契約の目的が達成できない場合:損害賠償請求、契約の解除ができる
  • そのほか:損害賠償の請求ができる

3-2.宅建業法での特則

◆売主が宅建業者、買主が個人の売買

  • 「土地や建物の引き渡しがあった日から2年間」が瑕疵担保期間となる

買うときにも売るときにも瑕疵担保責任については悩むところですが、こだわり過ぎると売主への印象が悪くなり、買い付け二番手の投資家に流れるということも考えられます。ライバルが不動産業者ということもあり、二番手だった業者が「瑕疵担保責任無し」での申込みだったことから一番手のかたが買えなかったということもあるかもしれません。

あまりにも買主に不利な内容で契約すると、もし重大な瑕疵が見つかったときに破綻する危険もあるので注意が必要ですが、指値がいくら通ったら瑕疵担保責任無しなど、交渉術として使うかたもおられるようです。

購入価格や契約内容などはよく確認したうえで交渉を進めていきましょう。

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