不動産投資の失敗談

家賃を下げろ!東京で行われたデモと不動産投資について

収入が低く家賃に悩むかたが増加している

6月12日に東京新宿で「家賃下げろデモ」が行われました。フリーターなどの非正規雇用として働き月収15万円ほどを得ても、東京の家賃が高すぎるため生活が困難になるなどの声が上がっています。「家賃下げろ」というのは大家さんへの意見ではなく行政に対しての声とのことですが、不動産会社の仲介手数料や家賃保証に支払う金額なども問題という声も上がっているため、不動産オーナーにとって無視できない話となっています。

ここでは「家賃を下げたい」とする方々の意見にもうなずける部分があるものの、不動産投資として考えたときにどのような問題が起こるかなどを客観的な視点から考察してみたいと思います。

1.脱法シェアハウスとは

デモでは東京の高すぎる家賃問題の影で若者たちが「脱法ハウス」を利用しているという現状についてや、家賃を払えずにホームレスとなるかたもおられるという声が上がっています。

脱法ハウスとは建築基準法のうえでの「寄宿舎」として認められていないシェアハウスのことで、またの名を「違法貸しルーム」と言われています。たとえば空き家や空き倉庫などに独自のリフォームを施してシェアハウスとして提供しているものは、最低限のスペースや採光などの規制を守っておらず建築基準法に違反している可能性があるのです。詳しくは下記の記事をご覧ください。

脱法ハウスについては以前もメディアで大きな話題となったことがあり、国は脱法ハウスを排除するために規制を整えました。いまは数が少なくなったとはいえ、知らずにシェアハウス投資を始めようとされるかたもおられるかもしれませんので注意が必要です。とくに空き家などの中古物件を購入してリフォームしたものなどは違法物件の恐れがあるため、寄宿舎として認められる物件かどうかを確認することをオススメします。

2.不動産価格の高騰と利回り低下のなかでの家賃値下げが何を意味するか

家賃を下げろ!東京で行われたデモと不動産投資について

景気刺激策としてマイナス金利などが導入され不動産投資が活発になっている今、不動産価格は高騰しそれに反比例して利回りは低下しています。これについては既に皆さんご存知の通りでしょう。

家賃収入が下がれば、当然ですが利回りは更に下がります。毎年の固定資産税や所得税といった租税公課、ローンの返済、さらに今後の金利上昇リスクや修繕費の積み立てなどを考えると、家賃の値下げは今後の収支を慎重にシミュレーションしながら決めなければならない問題です。

もし修繕費を支払えずに建物のメンテナンスができなければ、老朽化は急速に進行します。退去があれば現状回復のために家賃数ヶ月分の費用をかけて修繕し新たに入居者を募集しなければなりません。また入居者が直ぐに決まるという保証もなく、築年数や立地によっては数ヶ月から一年空室が埋まらないこともあるのです。インフレや円安、消費税増税などによる修繕コスト上昇なども考えなければなりません。

また、家賃収入が下がれば投資意欲も下がるもの。そうなれば経済は低迷し、大家さんだけでなく入居者自身へも影響がでる恐れもあります。

今回のデモに対する反応は賛否両論ありますが、皆さんはどうお考えでしょうか。

3.大家さんを直撃する家賃滞納リスクとは

「家賃滞納は空室よりも悪い」という声もあるほど、滞納は大家さんにとって頭の痛い問題です。家賃が入ってこなくとも入居者がいる時点で収入があるとみなされるため税金はかかります。滞納が数ヶ月続けば損失は数十万円にも上り、場合によっては損失を被ったまま夜逃げや退去に至ることもあります。

これを防ぐためにリスク対策として家賃保証会社を利用することは大家さんとしては無理もないことでしょう。また不動産会社も仲介手数料や大家さんからの広告費・管理費などが主な収入源となっており、日々のクレーム対応や設備が故障したときの対応などを行っています。仲介手数料無料のものも出てきていますが、これも大家さんが礼金を支払っているケースもあるのです。日本ではマンションの設備や清掃などのサービスが当たり前のように行われていますが、このようなサービスができるのも管理会社が機能しているからとも言えますから、これらを下げればどのような影響があるのかは言わずもがなでしょう。

4.民泊によって家賃が上昇したフランスの例も無視できない

民泊先進国のフランスでは、民泊によってマンション価格が高騰し、住民は高すぎる賃料を払えずに郊外へと移り住むかたも少なくありません。子どもが少なくなることで閉鎖する学校もあるとのことです。

日本では今まさに民泊についての規制が検討されている最中ですが、規制を緩くし過ぎると参入者が増えることでフランス同様の事態に陥る恐れもあります。

すでに脱法ハウスならぬ違法民泊は問題になっており、無許可で営業していたことで摘発される事例も出てきているほどです。そう遠くない未来に、民泊によって不動産価格が高騰するという事態もありうるかもしれません。

今回の「家賃下げろデモ」については非常に考えさせられる点も多々あります。非正規雇用が急増したことで収入が低下し、安い賃料の物件を選ぶしかないというかたは決して少なくないでしょう。このような方でも無理なく住める物件が必要になっているのは確かです。

いま、日本では少しずつアベノミクスの効果が見え始めており、非正規雇用者に対しても正社員との給与格差を縮めようとする動きもでています。ただし効果が直ぐに現れるわけではありませんから、「家賃を下げろ」という声が上がるのも不思議はないのかもしれません。

大家さん、管理会社、入居者それぞれに様々な考えがあるものですからどれが正解というわけはありません。相手がどのように考えているのか、それぞれの立場から冷静に見てみる必要があるのではないでしょうか。

この記事の後によく読まれています

ページトップ